会長からのご挨拶

会長からのご挨拶

会長 濵田泰人

学校法人NHK学園 理事長

2017年5月26日に開催されました第63回映像情報メディア学会の定時社員総会におきまして、髙畑文雄前会長の後任として会長に就任することになりました。この1年、前会長の下で学会運営を補佐させていただいておりましたが、改めて歴史と伝統のある当学会の運営を担うこととなり、身の引き締まる思いです。微力ではありますが、学会の発展のため尽力したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

「映像情報メディア学会」は、20年前に「テレビジョン学会」から改名しました。当学会と日本のテレビジョンの歴史を振り返りますと、1926年に髙栁健次郎先生が電子式のブラウン管を受像機に使って、世界で始めて「イ」の字の映出に成功しております。NHKでは1930年に放送技術研究所を設立し、1940年の東京オリンピックに放送開始を目指して、テレビの研究を開始しました。1933年には日本テレビジョン学会が設立されておりますが、残念ながら4年後の1937年に解散しております。

国際情勢の悪化からオリンピック開催は返上されることになり、また実際に日本でテレビ放送が開始されたのは1953年となりましたが、1946年には当学会の前身である「テレビジョン同好会」が発足し、1950年に「テレビジョン学会」に改称されております。そして、1990年代、いわゆるマルチメディア時代の到来とともに、「テレビジョン」が単なるテレビ受信機のイメージにつながりがちなため、学会名変更が懸案事項となり、1996年12月に文部省の認可を受け、学会誌も1997年1月号より「映像情報メディア学会」として生まれ変わりました。

この20年で、テレビジョン、あるいは放送を取り巻く環境は大きく変革してまいりました。アナログからディジタルへ、標準テレビからハイビジョン、4K・8Kへと高画質化が進み、そしてデータ放送、ハイブリッドキャストなど高機能化も図られてきました。さらに放送通信連携サービス、あるいは放送波とネットの同時配信も実施され、番組はテレビ受信機だけではなく、スマートフォンやタブレットでも同時またはタイムシフトで視聴できるようになりました。

このように放送の高画質化・高機能化が進展し、端末の多様化・モバイル化、タイムシフトなど、視聴者の利便性も向上している一方で、地上波テレビ放送の視聴時間の減少、世帯視聴率の長期的な減少が続いております。特に、若者を中心にテレビよりインターネットの接触時間が増大し、放送とは異なる多様な伝送路で送り届けられる多様な映像コンテンツを楽しむようになり、新たな文化を形成しつつあります。

「映像情報メディア学会」も、この20年、会員数の長期的な減少という課題に直面しております。学会名鑑には平成29年2月28日現在、全2,009学会もの「協力学術研究団体」が掲載されており、電気、電子、情報、通信、画像など、当学会と同じような領域を扱っている団体も数多くあります。したがって、学会の発展には「映像情報メディアに関する学理ならびに技術の進歩向上、普及をはかる」という目的を踏まえつつ、他学会にない独自性を追求し、減少が顕著な若い世代をはじめ国内外にアピールしていくことが不可欠であると考えております。3年後の東京オリンピック・パラリンピックは、その絶好の機会となります。

2020年は、当学会設立70周年の年でもあります。「テレビジョン」から開放された「映像情報メディア」の学会ならではの、新しい文化形成の礎となるような活動を、国内外の学会との連携も図りながら進めたいと考えております。

会員の皆様のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。