シンポジウム,デモ展示など特別イベントに関しての情報を掲載しております。
タイムテーブルに関しましては、こちらのページにて詳細をご覧いただけます。

[企画セッション1]電気化学ディスプレイの要素技術開発
企画:情報ディスプレイ研究委員会

エレクトロクロミックディスプレイなどの電気化学デバイスは,液晶ディスプレイなどの電圧駆動型のデバイスとは異なる駆動原理を有する.本企画セッションでは,電気化学デバイスの仕組みを深く理解するため,エレクトロクロミックディスプレイを例に,以下の4つの異なる視点からの話題を提供してもらう.(1)スマートウインドウとしての実用性,(2)駆動回路設計,(3)イオン液体を利用した表示技術,(4)配位高分子を用いたデバイス開発.

8月30日(水)13:00~15:30
会場A

座長:樋口昌芳(物材機構),吉村和記(産総研)


開会
スマートウィンドウの開発動向 ~ 省エネルギーに必要な性能とは ~

クロミック材料の応用先の一つとして「スマートウインドウ」があり,注目されています.スマートウィンドウとは,窓ガラス自身で光や熱のコントロールができる窓を意味しますが,現在実用化されているか,もしくは実用化の近い幾つかのスマートウィンドウについて,その開発動向と課題を紹介します.また,これらは,建物や乗り物の窓として用いることで冷暖房負荷を低減する効果が期待されていますが,そのためには,どのような性質を持つことが重要かを解説します.

ITE

産業技術総合研究所 中部センター

吉村和記
エレクトロクロミックディスプレイのアクティブマトリックス駆動

エレクトロクロミックディスプレイ(ECD)の大型化・高精細化・高速化のためには薄膜トランジスタ―(TFT)を用いたアクティブマトリックス(AM)駆動が必要となる.我々は,酸化物TFTを用いた対角1 inch,画素数7×7のAM駆動ECDを試作し,駆動電圧パルスによる発色状態,消色状態の違いを調べた.その結果,良好なパターン発色を得るためにはパルス波形とリーク電流の両面から考えていく事が必要であることが分かった.

ITE

九州大学 グローバルイノベーションセンター/大学院総合理工学府

服部励治
エレクトロクロミックイオン液体の開発とデバイス応用

イオン液体はイオン伝導性,不揮発性,難燃性といった性質を持っているため,湿式のデバイスに電解液として利用しやすい.我々のグループでは,イオン液体のカチオンやアニオンの分子デザイン性を生かして,イオン液体の構成イオンに酸化還元活性を付与したレドックスイオン液体やエレクトロクロミズムを示すエレクトロクロミックイオン液体を開発している.高濃度のエレクトロクロミック種が,10マイクロメートル程度の薄いデバイス光路長でも大きな吸光度変化をもたらす.講演では,我々のグループで合成したイオン液体を用いたエレクトロクロミックデバイスを紹介する.

ITE

長崎大学 総合生産科学域(工学系) 物質科学部門

○田原弘宣
ITE

長崎大学

村上裕人
メタロ超分子ポリマーを用いたエレクトロクロミック調光デバイス

メタロ超分子ポリマーは金属イオンと有機配位子が交互に錯形成により繋がった構造を有する配位高分子である.そのアモルファスな特性を生かして,ITOガラスやITOフィルム上に塗布により均一なポリマー膜を作製することができる.本講演では,メタロ超分子ポリマーの高分子構造とエレクトロクロミック特性の相関,及びメタロ超分子ポリマーを用いたエレクトロクロミック調光デバイスに関する最近の成果を報告する.

ITE

物質・材料研究機構 高分子・バイオ材料研究センター 電子機能高分子グループ

樋口昌芳
閉会

[企画セッション2]量子コンピューティング
(学会誌2022年3月号~2023年1月号連載講座連動企画)

次世代の超高速コンピュータとして期待される量子コンピュータは,近年,集積度が急速に進展し,金融や交通,創薬,材料設計,人工知能など様々な分野で実用化に向けた研究開発が広がってきている.一方で,メディアで取り上げられる情報は断片的であり,実体の理解が難しい.本セッションでは,非専門家でも量子コンピュータの実体を理解できるよう,、量子コンピュータを実現するためのハードウェア技術や,量子計算に不可欠な量子誤り訂正技術,シミュレーションへの応用事例について,一線で活躍されている研究者にご講演頂く.

8月31日(木)10:00~12:00
会場A

座長:才田大輔(富士通)

◎この企画セッションの予稿は以下のリンクからダウンロードしてください.
https://www.ite.or.jp/contents/tech_guide/tech_guide202202_202301.pdf


開会
超伝導量子コンピュータ

量子コンピューター全体に共通する解説を行った後,量子ビットを実現する事例として超伝導方式について説明をする.量子コンピューターにおけるソフトウェアとハードウェアの繋がりに関する説明を通して,ハードウェアの概況を知ることが今後のアプリケーションの実装にヒントをもたらすかもしれないと感じて頂ければ幸いである.

ITE

富士通 量子研究所

才田大輔
イントラップ量子コンピュータ

イオントラップとは,帯電した原子を真空中に保持する装置です.イオントラップ量子コンピュータでは,そのように保持された原子一つ一つを量子ビットとして用いて量子計算を行います.超伝導量子ビットなどの固体デバイスと比べ,原子ならではの均質性,高い量子コヒーレンスなどが特長です.イオントラップはもともとは原子分光や周波数標準を目的として研究が行われていましたが,90年代以降量子コンピュータを実現する系として注目され,現在も活発に研究が行われています.本講演では,イオントラップを用いた量子コンピュータを理解するために必要な基本的な概念・手法の説明から始めて,現在量子コンピュータを開発する上で課題となっている事項,それらを解決するための取り組みについても解説します.

ITE

沖縄科学技術大学院大学 量子情報物理実験ユニット

高橋優樹
シリコン量子コンピュータの仕組みと可能性

量子コンピュータの中でも,誤り耐性型の量子コンピュータは,実現した際の社会的なインパクトが大きく注目されている.しかし「精度」と「規模」を両立させなくてはならず,挑戦性が極めて高い.本講演ではその実装ハードウェアの有力候補として,シリコン量子コンピュータの仕組みについて紹介する.この方式は,長年の莫大な研究開発費のもとに蓄積されたシリコン集積回路技術の応用が期待できるため,「規模」の面で有望と考えられる.さらに最近の原理検証実験における「精度」面の目覚ましい進展についても紹介したい.

ITE

東京工業大学 超スマート社会卓越教育院

米田 淳
休憩
誤り耐性量子計算機の設計と開発

次世代の高速な計算技術として量子計算の実現が期待されている.量子計算機で実用的な規模の問題を解くには,誤り率の大きな量子ビットを符号化し信頼性の高い計算結果を得る量子誤り訂正符号の技術と,これを組み込んだ誤りに耐性のある量子計算機の実現が鍵となる.本講演では量子ビットのエラーを削減する量子誤り訂正技術の仕組みや,これを実現するためのアーキテクチャについて解説する.また,誤り訂正を行うための制御システム開発の現状や,誤り耐性量子計算機の効率改善の戦略について述べる.

ITE

NTTコンピュータ&データサイエンス研究所

鈴木泰成
化学問題を量子コンピュータで解く:量子アプリケーション開発の現状

量子コンピュータは暗号や物流,材料開発など様々な分野にブレークスルーをもたらすことが期待されています.なかでも,量子化学計算に代表される化学問題は量子コンピュータの近い将来の計算ターゲットとして非常に注目されており,世界各地で活発に研究が進められています.本発表では量子コンピュータアプリケーション開発の現状について,量子コンピュータの化学問題への応用,特に化学問題で重要となるエネルギー差の直接計算を例に挙げて紹介します.

ITE

慶應義塾大学 理工学研究科

杉﨑研司
閉会

[企画セッション3]放送番組制作におけるCO2削減への取り組み
企画:大会実行委員会

・現在,各分野で国連のSDGs(持続可能な開発目標)に貢献する取り組みを進めている.
放送番組制作においてもCO2削減に向けた取り組みが行われており現在までの取り組み状況について解説する.
・放送番組制作時のCO2削減に向けた取り組みとしては,イギリスのBBCが立ち上げた業界コンソーシアム「Albert」が管理運営する認証制度が既に運用されており,放送業界のデファクトとなっている.どのような制度なのか,運用方法などについてご講演いただく.
・日本の制作プロダクション「TBSスパークル」が制作した番組が民放局初のAlbert認証を取得しており,具体的な取り組み状況,課題等についてご講演いただく.
・フジテレビはAlbertを使って番組制作におけるCO2排出量を算出し,オフセットすることで実質カーボンゼロ番組を実現.その他メディアの垣根を超えた気候キャンペーンについてもご講演いただく.
・講演の後,パネルディスカッションを開催する.

8月31日(木)13:00-15:00
会場A

座長:木幡美子(フジテレビ)


~なぜCO2削減が必要なのか~ 今、地球に起きている事とメディアの役割

この夏の猛暑はたまたま起きているのではない.人間の経済活動と私たちひとりひとりの行動に起因している.そして,世界の研究者たちは今すぐ適切な対策をとらないともう後戻りできない状況になると指摘している.その事実と今後起こりうるリスクを正しく認識し,メディアとしてできる限りの対策をとることが求められている.具体的に何をすればいいのか,SDGs(持続可能な開発目標)にも触れつつ解説する.

ITE

フジテレビジョン 社会貢献推進局局次長/報道局解説委員

木幡美子
欧米のサステナブルプロダクションの動向について

BBC,Sky,ITVなどの英国の主要放送局は2030年までにネットゼロになることを宣言しており,番組制作においてもCO2排出量をゼロにする取り組みが進んでいる.このために業界を挙げて運用しているのが英国映画テレビアカデミー協会(BAFTA)の子法人,albertが運営しているCO2排出量計算ツール,「albert Carbon Calculator」だ.一方,米国ではハリウッドのSustainable Production Allianceを中心に「Green Production Guide」と呼ばれるツールが提供されている.また欧米では映画やテレビドラマの撮影現場でサステナブルプロダクションを支援する会社も登場し,撮影現場にエコPAと呼ばれるスタッフを派遣している.これらの排出量計算ツールを中心に,欧米でのサステナブルプロダクションの動向について紹介する.

ITE

メディア・ITコンサルタント

今和泉仁
番組制作におけるCO2削減をどう実現するか ?民放初のアルバート認証取得を振り返る

TBSグループでは2020年秋から年に2回,SDGsキャンペーン『地球を笑顔にするWEEK』を実施するなど,国連のSDGs(持続可能な開発目標)を積極的に後押ししています.また,メディア&コンテンツ企業として「脱炭素社会への貢献」にも早くから取り組んでおり,2018年から段階的に施設を再エネ化している他,2023年度にはTBS放送センターなど主要3施設のカーボンニュートラルを実現します.

さらに今後の重要テーマのひとつが「番組制作における環境負荷をどう減らすか」.その一環として,2022年3月にBS-TBSの番組『Style2030 賢者が映す未来』(TBSスパークル制作)がイギリスの団体『アルバート』が提唱する「Sustainable Production =CO2排出削減などの面で環境に配慮した番組作り」に挑戦しました.民放の番組としては初めて「アルバート認証」の3段階うち「2つ星」の取得に至った経緯と,その経験で得た今後の課題について共有し,皆さまと一緒に考えていくきっかけにできればと思います.

ITE

TBSホールディングス サステナビリティ創造センター長

井上 波
ITE

TBSスパークル BS-TBS「Style2030 賢者が映す未来」元プロデューサー

石郷岡真実子
フジテレビの取り組みとメディアの枠を超えた気候キャンペーンについて

2023年1月に放送した「EXITの未来を本気で考えるⅢ」でカーボンゼロ番組を実現した.制作開始当初から環境負荷を減らす方法を選択し,その上で,打ち合わせやロケ,編集等で排出したCO2量を英国のオンラインツール「アルバート」を使って算出.それ相当分の再生エネルギー由来のJ―クレジットを購入することで実質的にオフセットした.また,国連広報センターと組んだ気候キャンペーン「1.5°Cの約束―いますぐ動こう,気温上昇を止めるために.」を今年も展開.世界の平均気温上昇を産業革命以前と比較して1.5°Cに抑えようというもので,在京キー局5社とNHKが局の垣根を越えて共通動画を制作したり,6局のキャスターが一堂に会した特別番組を放送予定.

ITE

フジテレビジョン 社会貢献推進局局次長/報道局解説委員

木幡美子
休憩
パネルディスカッション


モデレータ 木幡美子
パネリスト 今和泉仁,井上 波,石郷岡真実子

[企画セッション4]画像生成AIをめぐる法的・倫理的課題
企画:大会実行委員会

生成AI技術の発展と実用化が急速に進む中,生成AIにより出力されたコンテンツの利活用について,著作権,個人情報保護をはじめとして様々な法的・倫理的課題が浮上し,対応が求められている.本企画では,画像生成AIをめぐる法的・倫理的課題について,生成AI技術者や実務で生成AIを利用する者の立場で主な論点を紹介しディスカッションを行う.

8月31日(木)15:40-17:20

会場A

座長:苗村 健(東大)


開会
ITE

東京大学大学院 情報学環 教授

苗村 健
画像生成AIの現状と今後の発展予想

画像生成AI技術はここ数年で実用化が大きく進みつつある.本講演では,画像生成AIの現状と技術的基礎を紹介するとともに,今後の技術的発展や社会に及ぼす影響を予測する.

ITE

ソニーグループ Corporate Distinguish Engineer

小林由幸
画像生成AIと知財(著作権を中心に)

昨今の画像生成AI技術の発展に伴い様々なツールやサービスが開発・展開される中で,①著作物を含む学習データの収集・利用,②生成AIにより出力された画像の著作物性,③既存の画像に似た画像を出力した場合の権利侵害の問題など,著作権法上の問題に注目が集まっている.また商用利用の場合,商標権など他の知的財産法上の論点も生じうる.本講演では,画像生成AIツールの開発・活用に際して生じる法的課題について,著作権を中心に知財関連の論点を検討する.

ITE

東京大学大学院 情報学環 准教授

酒井麻千子
画像生成AIと実務,個人情報保護・肖像権

画像生成AIは例えばまるでその人が何かの行動しているような迫真的なシーンを描写することができる.フェイクニュースに使われる場合が典型的であるが,例えば「普通のおじさん」として生成されたAIが特定の人物に瓜二つだったとして話題になったりしている.このような状況における実務上の問題を個人情報・プライバシー保護・肖像権・名誉毀損等を中心に検討したい.

ITE

桃尾・松尾・難波法律事務所 弁護士

松尾剛行
画像生成AIと倫理的課題

画像生成AI技術によって生じる倫理的課題とされる諸問題(バイアス,誤情報,文化の撹乱,技術の社会的受容等)に関わる論点を紹介した上で,科学技術社会論上の議論蓄積を参照しつつ本論点についての「出口戦略」を整理する.

ITE

東京大学大学院 情報学環 准教授

永石尚也
休憩

ディスカッション・質疑応答

[企画セッション5]Invited Session of KIBME
企画:大会実行委員会

9月1日(金)10:20-11:40

chairperson:
Dr. Jeongchang Kim
(Korea Maritime and Ocean University)


IP-Based Media Production Using Cloud Platform

In this talk, an IP-based media production system and its development using a cloud platform will be discussed. For high-quality live media production in real-time, key technology components including IP media gateway, media switcher, and device management over wide area networks will be discussed as well as the current progress of the system development.

ITE

Principal Researcher, ETRI

Dr. Jae-young Lee
Bringing AI into Media Production

Exploring groundbreaking applications of AI technology in media production, KBS aims to minimize monotonous tasks and empower creators to channel their efforts into pure creativity.

– High-efficiency Multi-camera Production with AI and 8K Cameras:
Dive into the features of ‘VVERTIGO’, our revolutionary multi-camera production system amalgamating AI and 8K technology, charting the future course for efficient broadcasting production.

– Automated Color Restoration for Black and White Films:
Discover the transformative power of AI in breathing life into historically pivotal black and white films, making them accessible to contemporary audiences, thereby serving public interest.

– Quality Augmentation of Low-resolution Thumbnails:
Delve into our AI-driven approach to magnify the quality of low-resolution thumbnails derived from video frames, a strategy which has significantly amplified our YouTube engagement metrics.

ITE

Deputy Director, KBS R&D

Dr. Yoonjae Lee

【フェロー記念講演】

映像情報メディア学会には,テレビジョンを含む映像情報メディアに関する学術および産業分野の発展・普及・振興あるいは本学会事業の発展に対して,特に貢献が顕著と認められる会員に高い尊敬と深い感謝の意を表するための制度として,フェロー会員の認定制度があります.本企画では,新たにフェローの称号が贈呈されました皆様を講師としてお招きし,映像情報メディア技術の発展に寄与した業績をご講演いただきます.


32B-1[フェロー記念講演]これまでの研究開発とこれからの取り組み(予稿なし)

このたびは,名誉あるフェローの称号を授与頂き,深く感謝申し上げます.
本講演では,これまで,約30年間,私が取り組んできました放送技術分野の研究開発について振り返ります.主に距離画像を撮影する3次元カメラの開発とその番組応用や,次世代の映像メディアを目指した裸眼3次元映像に関する研究開発などを中心にご紹介します.若い研究者の方々の参考になるような話ができればと思っています.また,現在,大学における教育や研究の活動状況や最近の関連研究分野の話題,今後の取り組みなどもご紹介させていただきたいと思います.

ITE

大阪工業大学 情報科学部 情報メディア学科

河北真宏

【招待講演】


23C-6[招待講演]多様な環境下での姿勢推定に向けた取り組み(予稿なし)

姿勢推定はスポーツシーンの解析において強力なツールになり得ます.野球のピッチングのように同じ場所で動作が行われるケースもありますが,マラソンのように広い範囲を移動するケースではカメラで撮影し続けることが困難となってしまいます.さらには,ウィンタースポーツなどで,体に密着しない服装で競技が行われるケースでは,姿勢推定精度の低下が懸念されます.本講演では環境に向けて進化する姿勢推定について幾つかの例を挙げて紹介する予定です.

ITE

工学院大学 情報学部 コンピュータ科学科

三上 弾