私の研究開発ツール —第96回—
3次元マルチチャンネル音響 標準音源 Aシリーズ

大出 訓史(ARIB音声品質評価法作業班/日本放送協会)

はじめに

このページでは,映像情報メディア学会誌2017年9月号 「私の研究開発ツール —第96回— 3次元マルチチャンネル音響 標準音源 Aシリーズ」 の補足情報を紹介します.
学会誌の記事とあわせて,映像情報メディア学会が発行している「3次元マルチチャンネル音響 標準音源 Aシリーズ」 を活用するための一助となれば幸いです.

ファイル形式

3次元マルチチャンネル音響 標準音源Aシリーズで採用されているファイル形式は,22.2ch音響方式,リニアPCM,サンプリング周波数48 kHz,24 bitの下記の2種類です.
※勧告ITU-R BS.2051(system H),ARIB STD-B59準拠(22.2マルチチャンネル音響).

チャンネル番号およびそのチャンネルに記録されている音声信号を再正するスピーカの設置位置は次の通りです.

チャンネルスピーカの設置位置
No.ラベル名称ラベル方位角仰角
1FLFront Left M+060+45°〜+60° 0°〜+5°
2FRFront Right M-060-45°〜-60° 0°〜+5°
3FCFront Center M+0000°〜+5°
4LFE1Low Frequency Effects-1LFE1+30°〜+90°-15°〜-30°
5BLBack Left M+135+110°〜+135° 0°〜+15°
6BRBack Right M-135-110°〜-135° 0°〜+15°
7FLcFront Left Center M+030+22.5°〜+30° 0°〜+5°
8FRcFront Right Center M-030-22.5°〜-30° 0°〜+5°
9BCBack Center M+180180° 0°〜+15°
10LFE2Low Frequency Effects-2LFE2-30°〜-90°-15°〜-30°
11SiLSide Left M+090+90° 0°〜+15°
12SiRSide Right M-090-90° 0°〜+15°
13TpFLTop Front Left U+045+45°〜+60° 30°〜+45°
14TpFRTop Front Right U-045-45°〜-60° 30°〜+45°
15TpFCTop Front Center U+00030°〜+45°
16TpCTop Center T+00090°
17TpBLTop Back Left U+135+110°〜+135° 30°〜+45°
18TpBRTop Back Right U-135-110°〜-135° 30°〜+45°
19TpSiLTop Side Left U+090+90° 30°〜+45°
20TpSiRTop Side Right U-090-90° 30°〜+45°
21TpBCTop Back Center U+180180° 30°〜+45°
22BtFCBottom Front CenterB+000-15°〜-30°
23BtFLBottom Front Left B+045+45°〜+60° -15°〜-30°
24BtFRBottom Front Right B-045-45°〜-60° -15°〜-30°

※方位角は,正面を0°として反時計回りが正,時計回りが負です.仰角は,聴取者の耳の高さを0°としています.

簡易再生ソフト

3次元マルチチャンネル音響 標準音源Aシリーズには,ARIB Audio Playerが付録されています. Windows環境で動作し,24チャンネル以上を再生可能なASIO対応の音声デバイスがあれば,22.2ch音響を再生可能です. インストールは不要ですので,任意のフォルダにコピーして使用して下さい.

Screen Shot 1
図1 簡易再生ソフトの画面

簡易再生ソフトを起動したら,まず,音声デバイスの設定を行います.メニューバーの「Device」から「ASIO」を選択して下さい.
ASIOデバイスのどのチャンネルにどのスピーカが接続されているのかは,「Device」の「Edit Speaker Layout」で設定することができます. スピーカ配置の初期値は,SpeakerLayout.csvというファイルに書かれています.
CH01=M+060と書かれていれば,チャンネル1の音声信号を中層の左外側(M+060)のスピーカから, CH24=B-045と書かれていれば,チャンネル24の音声信号を下層の右側(B-045)のスピーカから再生するというように, ファイル内のチャンネルと再生するスピーカを一対一に対応させることができます.

ファイル形式としては, Multi-mono,Interleaveの両方に対応しています.
メニューバーの「File」から再生したい音声ファイルを選択して下さい.
Multi-monoの場合は,フォルダを指定します.24個のmonoの音声ファイルが一つのフォルダ内に格納されている必要があります。
Interleaveの場合は,ファイルを指定します.フォルダ内に幾つ音声ファイルが格納されていても問題はありません.

基本的な機能として,再生,区間再生,停止,一時停止,繰返し再生をすることができます.詳しくは,解説書をお読み下さい.

サンプル音源

標準音源Aシリーズは,10種類,計41個の評価音源から構成されています.(英語版のチャンネルチェック音源は現在準備中です.) 音源の収録は,チャンネル数と同じ数のマイクロホンを再生するスピーカ位置に設置する多点収音と, 聴取位置にワンポイントマイクを設置する1点収音で行いました.
本来,3次元マルチチャンネル音響 標準音源は, 24個の音声信号をそれぞれ対応するスピーカから個別に再生して使用するものですが, このページでは,サンプル音源として2チャンネルステレオにダウンミックスした音源を幾つか用意しました.

22.2ch音響方式から2チャンネルステレオへのダウンミックスは下記の数式を用いて行いました.

L = FL + FLc + SiL + BL + TpFL + TpSiL + TpBL + BtFL + (FC + BC + TpFC + TpC + TpBC + BtFC)×0.707
R = FR + FRc + SiR + BR + TpFR + TpSiR + TpBR + BtFR + (FC + BC + TpFC + TpC + TpBC + BtFC)×0.707

3次元マルチチャンネル音響 標準音源Aシリーズ 音源一覧

No.収録風景音源名
No.1 No Image Data チャンネルチェック
  • チャンネル順確認
  • スピーカ位置確認
  • チャンネル順確認:英語版(準備中)
  • スピーカ位置確認:英語版(準備中)
No.2 sample_02 音像定位
  • 左右移動(45度系/60度系)
  • 上下移動(45度系/60度系)
  • 平面回転(45度系/60度系)
  • 上下飛越(45度系/60度系)
  • 上下螺旋(45度系/60度系)
No.3 sample_03 風景音(遊園地)
  • 遊園地短時間(1点収音/多点収音
  • 遊園地長時間(1点収音/多点収音)
No.4 sample_04 風景音(電車)
  • 電車通過一通(1点収音/多点収音
  • 電車通過往復(1点収音/多点収音)
No.5 sample_05 風景音(バレーボール)
  • バレーボール サイドライン(1点収音/多点収音)
  • バレーボール エンドライン(1点収音/多点収音)
No.6 sample_06 八重奏
  • 弦楽器(15秒程度)
  • 管楽器(15秒程度)
  • 短時間(15秒程度)
  • 中間(1分程度)
  • 長時間(1曲)
  • 未加工
No.7 sample_07 歌(かごめかごめ)
  • かごめかごめ静止
  • かごめかごめ移動
No.8 sample_08 ドラマ
  • ドラマ(会議)
  • ドラマ(リハ)
No.9 sample_09 天ぷら
  • 天ぷら 野菜
  • 天ぷら 海老
No.10 No Image Data 音素材集
  • 食器の落下
  • ツリーチャイム
  • 雨と蛙

※付きの音源については,画像を右クリックして「対象ファイルを保存」すると サンプル音源をダウンロードすることが可能です.

関連リンク