シンポジウム,デモ展示など特別イベントに関しての情報を掲載しております。
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[企画セッション1]NHKスペシャル「映像記録 関東大震災 帝都壊滅の三日間」 ~8K高精細カラー化映像で蘇る新事実~
企画:大会実行委員会

NHKでは,関東大震災の残存するフィルム映像をカラー化し,さらにフィルムの元データから8K相当の高精細化を実施.35ミリフィルムは情報量が豊富だが,テレビ映像に変換する際にかなりの部分が欠落している.そこで元フィルムを新たな技術でスキャンし直すことで,これまで不鮮明だった映像のディテールを浮かび上がらせた.
関東大震災の記録映像には混乱の中の撮影で,撮影場所や時間が不明なものが多かった.NHKはそれらの映像を高精細・カラー化.すると建物の形,看板,影,そして人の表情が鮮明に浮かび上がった.これらの作業を進めた「デジタル調査報道=OSINT(オープン・ソース・インテリジェンス)」チームの活動内容について講演いただく.

12月26日(火)9:55~12:00
会場A

座長:岩鼻幸男(学会事務局長)


開会
「100年前がリアルによみがえる」 “高精細カラー化”のねらいと効果

今回の番組では,関東大震災の映像記録の決定版にするために,当時の35ミリフィルム映像の「高精細・カラー化」に挑んだ.「高精細化」は8Kスキャナーで行い,「カラー化」はAIと人の手作業を融合させて行ったが,いずれも最先端の技術の登場によって実現した.番組は,100年前の出来事を“今起きていると感じるほどのリアリティー”を持って伝えたことで大きな反響を得ることができた.高精細カラー化を中心に今回の番組の制作過程を紹介する.

ITE

NHK 第2制作センター(現NHKエデュケーショナル) チーフ・プロデューサー

○木村春奈
撮影場所・時間だけじゃない!高精細映像からの発見とは?

一般に公開されている多様な情報を組み合わせ,新たな事実や見解へとたどり着くOSINT(Open Source Intelligence).主に軍事や諜報の分野で使われる手法として知られてきたが,今回,番組制作班が行ったことは言うなれば“OSINTの歴史への応用”であった.高精細カラー化によって視認性の上がった映像を,研究者の協力を得て詳細に分析し,撮影場所や時間,さらには「誰が何をしている場面なのか」に迫っていったプロセスを,実際の事例とともに紹介する.

ITE

NHKエンタープライズ ディレクター

○後藤遷也
colorization ~ AI技術×手作業でのカラー化 “正しい色”へのこだわり ~

100年前の災害という特殊状況の映像のため,AI自動カラー化では色がうまく入らず,AIと人の手作業を掛け合わせたフローを実施.約40分(約330カット)のカラー化を実現した.AIと人ではそれぞれが何が得意で,どうAIと協働していくのか,今回わかったことを伝える.さらに,いかに映像を見る人の心にダイレクトに届けるか.当時の絵葉書や文献など色の情報がわかる物を手がかりに,モノクロの映像の中に色を見つけていく作業の実態を語る.

ITE

NHKアート アートディレクター

○伊佐早さつき
AIカラー化システムの実用化にあたっての取り組み

AIを実用化する場合には「完ぺきなAIを追い求めすぎるために,実用化が進まない」ことが良くある.NHKのAIカラー化システムは,すべてをAIに任せず人間と役割分担することで高品質のカラー化映像が制作できるようにした.今回は,これまでの開発エピソードを交えながら,AIとどう向き合ってカラー化システムを実用化出来たのか報告する.

ITE

NHK 知財センター アーカイブス部

○霜山文雄

[企画セッション2]自由視点映像生成の最新技術
企画:情報センシング研究委員会

自由視点映像生成技術は,既に放送に活用されたり,AI技術を用いたNeRFなども注目されている.そこで本企画セッションでは,自由視点映像生成技術の放送・映像制作への活用例を中心にご紹介いただき,最新技術動向や今後の展望についてもご講演いただく.

12月26日(火)13:00~14:40
会場A

座長:林田哲哉(NHK)


開会
自由視点映像のためのイメージング技術 ~ 光学制御と深層学習の融合の先に ~

自由視点映像のためのイメージング技術について,講演者の取り組みを紹介する.具体的には,密な多視点画像で構成されるライトフィールドを取得するイメージング技術に焦点を当てる.講演者の研究では,電子的に制御可能な光学系を備えたカメラ,および計算機による映像再構成処理を組み合わせ,全体を深層学習の枠組みで最適化するアプローチを提唱してきた.このアプローチでは,高効率かつ高品質なイメージングが達成できることに加え,動的な被写体への対応も可能である.さらに,このアプローチとニューラルレンダリングとの融合により,撮像から自由視点映像生成までを包含する枠組みも実現可能である.

ITE

名古屋大学

○高橋桂太
生成AI・基盤モデルを活用した自由視点映像生成の最新技術事例

Preferred Networksは「現実世界を計算可能にする」をミッションとして,深層学習などの最先端技術を活用し,様々な産業領域へ課題解決に向けたソリューションを提供しています.
いま,新しいAI技術により世の中が大きく変わろうとしています.そのパラダイムシフトの中心となっているのが,生成AI技術でありその核となる基盤モデルです.
本講演では,近年急速に発展しているNeRF技術と大規模基盤モデルの活用について,取り組みと事例紹介をさせて頂きます.

ITE

株式会社Preferred Networks

○福田昌昭
「清澄白河BASE」から拡がるコンテンツ表現手法の進化と挑戦

ソニーPCLのクリエイティブ拠点「清澄白河BASE」内にあるバーチャルプロダクションスタジオ,ボリュメトリックキャプチャスタジオでの取り組みを作品実績とともにご紹介します.

ITE

ソニーPCL株式会社

○小林大輔
閉会

[企画セッション3]火星衛星探査計画MMX※の全貌 ~火星の衛星フォボスとダイモスを探査,世界初のサンプルリターンを目指す~
企画:大会実行委員会

火星衛星探査計画「MMX」は宇宙航空研究開発機構(JAXA)が中心となって進めている壮大なミッションで,世界初の火星衛星サンプルリターンを目指しています.火星の衛星であるフォボスとダイモスを観測すると共に,フォボスからサンプル採取して地球に帰還させることを計画しています.本セッションではミッションの目的や概要,火星や衛星の観測運用計画,探査機に搭載されている観測機器,さらに地上系のシステムについて担当者から詳しく紹介していただきます.
※MMX Martian Moons eXploration

12月26日(火)15:30-18:15
会場A

座長:三橋政次(NHK)


開会
MMX計画概要

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が主導で進めている火星衛星探査計画(MMX)とはどのような計画なのか?なぜ火星やその衛星の探査を目指すのか?これまで日本が歩んできた衛星探査の歴史を踏まえながら,今まさに実現しつつあるMMXミッションについて,その目的と意義を解説します.

ITE

JAXA MMXプロジェクトマネージャー

○川勝康弘
MMX運用概要

MMXはどのような航路で火星に到着し,火星圏に到着後はどのような軌道でどのような観測を行うのか?火星やその衛星であるフォボスやダイモスについて,いつどのような観測や探査を行うのか?またフォボスへの着陸とサンプル採取とはどのように実現するのか解説します.

ITE

東北大学

○中村智樹
MMXの観測機器

MMXには火星や衛星の観測を行う機器やフォボス表面からサンプルを取得するための装置,さらに探査技術の獲得を目指す機器など数多くの機器が搭載されます.これらの各種機器についてその役割や目的について解説します.また,MMXの今後の予定についても併せて解説します.

ITE

AXA MMXサブプロジェクトマネージャー

○大嶽久志
撮像系の観測機器① SHV

MMXの搭載機器からSHV(高精細カメラ)についてご紹介します.MMXには多くの撮像系機器が搭載されますが,SHVの目的は観測ではなく,火星や衛星を超高精細画質で撮像し,いち早く国民の皆様にお届けするのが目的です.徐々に近づいて来る火星やダイナミックなフォボスの映像,さらに着陸後のフォボス地表の撮像などを計画しています.

ITE

NHK

○船津良平
休憩
撮像系の観測機器② TENGOO/OROCHI

MMXの搭載機器からTENGOO/OROCHIについてご紹介します.TENGOOとOROCHIは観測を目的とした機器で,それぞれ望遠レンズと広角レンズを搭載した撮像機器です.TENGOOは高解像度で撮影し着陸地点の選定にも用いられます.OROCHIは様々な波長で撮影できるカメラです.2種類のカメラの機能や目的についてご紹介します.

ITE

立教大学

○亀田真吾
高度計測の観測機器 LIDAR

MMXの搭載機器からLIDARについてご紹介します.LIDARはレーザ高度計を意味しており,レーザを用いてその反射光から距離を測定する機器です.衛星からの高度を測定すると共に,衛星の地形についても測定します.レーザを用いた高度計は,これまでの探査機でも使用されてきましたが,今回の機器の特徴や目的についてご紹介します.

ITE

千葉工業大学

○千秋博紀
地上処理系について

MMXで観測されたデータははるばる火星圏から伝送され,地球のアンテナ等の地上設備で受信します.また地上からはMMXにコマンドを送信し,様々な観測の実行やMMXの運用に対応します.この地上系設備におけるデータ処理の流れやシステム構成,さらに国内外にいる研究者や一般の皆様への公開系について解説します.

ITE

会津大学

○平田 成
閉会

[企画セッション4]2022年度各賞受賞企業による記念講演
企画:大会実行委員会

2022年度に当学会が主宰する各賞を受賞された企業の方々のご協力を得て,記念講演企画を行うこととしました.いま放送の現場で用いられている技術や,次世代の放送を予感できる技術,そして研究の最前線の技術について,それぞれわかりやすく,親しみやすくご紹介いただきます.各企業でどんな研究開発が行われているかについて,企業の特色も垣間見ることができ,大学関係者,学生の皆さんにも貴重な機会となっています.

12月27日(水)9:50-12:00

会場A

座長:加藤晴久(KDDI総合研)


開会
<技術振興賞>進歩開発賞(現場運用部門)受賞
自動スイッチングシステムの開発

昨今コンテンツ制作現場において人手不足や負担の増加が課題となっています.
その課題を解決するために,テレビ朝日では制作現場における技術オペレート自動化を調査研究し,今回カメラ映像を切り替える“スイッチング”を自動化するシステムを開発しました.
マイク音声に連動してスイッチングしつつ,カメラ映像の分析によりリアクションスイッチも自動で行うことで,自然な自動スイッチングを実現しています.
本講演ではシステム概要から,実際に番組で使用した映像も交えてご紹介します.

ITE

テレビ朝日

○森山顕矩
<技術振興賞>進歩開発賞(現場運用部門)受賞
映像編集の自動モザイク入れソリューション「BlurOn」

テレビ局では近年個人情報保護への要求の高まりから,モザイク入れ作業が増加している.
また,このモザイク入れ作業は非常に時間がかかる作業であり,1番組あたり数十時間~100時間以上かかることもある.その作業を効率化したいという現場の要望から生まれたのがAI自動モザイク入れソリューション「BlurOn」である.BlurOnは「高精度な独自開発AI」や「AI検出結果を編集ソフトにキーフレームで反映可能」などの特徴を持ち,作業時間を最大90%の削減に成功した.また,この精度の高さと作業時間削減効果から映像業界に収まらず,自動車業界やインフラ業界など様々な業界で映像内の個人情報保護対応に貢献している.

ITE

BlurOn開発チーム

○吉岡裕弥・加藤大樹(日本テレビ),渡邉之人(エヌ・ティ・ティ・データ)
<技術振興賞>進歩開発賞(現場運用部門)受賞
音声合成の開発によるAIアナウンスシステムの実用化

NHKは音声合成技術の研究開発を行っており,それらの成果を様々な番組で実用化している.本稿では,音声合成研究と共に様々な番組活用事例について報告する.研究事例では,現在の主流である系列変換方式音声合成を初めて日本語化した手法,深層学習を利用した言語処理部の開発,音声合成自動学習手法について報告する.番組の活用事例では,「NHKニュース」の事例と共に気象情報の自動番組制作手法などについて報告する.

ITE

NHK

○栗原 清・阿部真由美・大蔵哲士
<技術振興賞>進歩開発賞(研究開発部門)受賞
4K/8K解像度H.266|VVC対応リアルタイムコーデックの開発

最新の映像符号化方式Versatile Video Coding (VVC)が2020年8月に国際標準化された.当社はVVCの標準化作業への参画により,標準化完了直後の2020年9月に世界初のVVC対応のリアルタイムソフトウェアコーデックの開発に成功した.その後,エンコーダの高解像度化や画質改善を進めた.本講演では4K/8K映像やVR映像などの多様な映像伝送サービスへの将来的なVVCの利活用を想定したライブ映像伝送の事例を紹介する.

ITE

4K/8K解像度H.266|VVC対応リアルタイムコーデック開発チーム

○河村 圭・木谷佳隆・海野恭平(KDDI総合研究所)
<技術振興賞>コンテンツ技術賞受賞
LEDバーチャルプロダクションにおける同期技術を活用したマルチカメラ合成への取り組み

3DCGを活用したバーチャルプロダクション(VP)が注目されている.大型LEDディスプレイによるVPではリアルな表現が可能だが,カメラの合成台数に制限があり,演出の自由度に課題がある.今回LEDでの複数カメラ合成に音楽番組で挑戦して,新しい映像表現を実現した.
LEDに複数の映像を高速で切替え表示し,撮影カメラの位相とシャッターの調整により複数のカメラを合成する手法で,実際に音楽番組を制作・放送した.背景には,実際の都市・建物データから3DCGを独自制作し,リアルな映像を追求した.
LEDを使ったVPは,カメラ1台で撮影するCMやドラマでの利用が主流だが,複数カメラ合成の実現により,今後の放送番組での利用拡大と3DCGを使ったリアルな映像や魅力あるコンテンツ制作が可能となる.

ITE

テレビ東京

○近藤剛史・宮澤真子・片柳 悠
<映像情報メディア未来賞>受賞
多元系半導体量子ドットを使った高色純度発光素子の開発

広色域ディスプレイの実現を目指し,高色純度な発光が得られる新規量子ドット材料の合成と発光素子の開発を進めてきた.カドミウムなど有害物質を含まない多元系半導体量子ドットの高色純度化と発光波長制御に取り組み,赤,緑,青色の各色に対して高色純度の発光を示す量子ドットを実現した.そして,合成した各色の多元系半導体量子ドットを使った量子ドット発光素子を試作した.その発光特性を評価・分析することで,各色に対して色鮮やかな発光を実現するための素子構造を見いだし,多元系半導体量子ドットによる発光素子が広色域ディスプレイに有望であることを示した.

ITE

NHK

○本村玄一
ITE

大阪大学

上松太郎
ITE

名古屋大学

亀山達矢
閉会

[企画セッション5]企業における生成AI研究開発の最前線
企画:メディア工学研究委員会

映像・言語等を対象とする生成AI(Generative AI,GenAI)への注目度は昨今極めて高い.本セッションでは,企業で生成AIの研究・応用に携わる若手研究者にお集まりいただき,最新の動向や取組についてご紹介いただく.

12月27日(水)13:00-14:55

会場A

座長:田良島周平(NTTコミュニケーションズ/都立大),横井謙太朗(東芝インフラシステムズ)


オープニング
コンバージングテクノロジーを活用した生成AIによる訓練ツールの検討

生成AIを活用した特殊詐欺の訓練ツールについて紹介する.特殊詐欺は巧妙かつ新たな手口が次々に導入されるため,高齢者の被害は増加し続けている.一方,警察などが詐欺電話の模擬体験会などの啓蒙活動を実施しているが,警察員が犯人役を実施するため,多くの参加者に体験してもらうのは難しい.本発表では,生成AIと犯罪心理学の知見を活用することで,多くの参加者がリアリティーの高い最新の詐欺シナリオを対話形式で体験する機能と体験中の参加者の心身状態を基に特殊詐欺に騙されやすいリスクをフィードバックする機能を開発したので紹介する.今後,多くの参加者への模擬体験を通して,特殊詐欺の未然防止を目指す.

ITE

富士通

○紺野剛史・近野 恵・粟井修司
LLM活用による記述的映像要約

昨今の映像解析分野では,物体検出や追跡,関係性認識などの基礎的な知覚タスクに留まらず,映像の意味レベルでの理解に向けた研究が進展している.特に,長時間映像内からユーザが興味を持つシーンの抽出,および抽出シーンに関する映像要約を生成する技術には大きな需要がある.本稿ではこのような需要に応えるために開発された,ユーザの興味に基づく記述的映像要約生成技術を紹介する.ユーザ興味の解釈,および興味に対応する映像要素の抽出・要約の方法について,大規模言語モデルの活用を中心に概説する.

ITE

NEC

○山崎智史・劉 健全
Dynamic NeRFの課題と軽量化に向けた取り組み

NeRF(Neural Radiance Field)を用いた新規視点画像合成技術は,既存の3次元復元技術と比較して光沢や透明な物の表現に長けており,メタバースやxRへの応用が期待されている.しかしながら,NeRFコンテンツの作成やレンダリングにはニューラルネットワークの学習や推論が必要であり,これらの計算量を削減する研究が広く行われている.特に動く物体を表現するDynamic NeRF技術においては未だ発展途上であり,学習可能な動画時間も限られている.本講演ではこのDynamic NeRFの既存手法と現状の課題について紹介し,その中でも特に軽量化という観点で取り組んだ結果について報告する.

ITE

NTTコミュニケーションズ

○加藤善夫
クロージング

[企画セッション6]放送局におけるカーボンニュートラルに向けた取り組み
企画:大会実行委員会

2023年年次大会企画セッションで実施した「放送番組制作におけるCO2削減への取り組み」の継続企画として実施します.
放送番組制作のみならず放送局設備全般のカーボンニュートラルに向けた取り組みについて,NHK,民放キー局,メーカーから講演いただきます.また,CO2削減に向けた世界の動向についても講演いただきます.
本セッションは,会誌特集との連動企画とする予定です.

12月27日(水)15:30-18:35

会場A

座長:岩鼻幸男(学会事務局長)


開会
NHKグループのCO2削減に向けた取り組み ~ 1.5℃の約束キャンペーンでの挑戦 ~

NHKでは,国連SDGメディアコンパクトのキャンペーン「1.5℃の約束」の特集番組を制作するにあたり,BBCが開発したアルバートのカリキュレーターを用いてCO2排出量を測定,削減に役立てている.また,NHKエンタープライズでは,こうした知見をNHKや民放キー局有志との「CO2削減勉強会」で共有し,どうしたらテレビメディアの脱炭素につながるか情報交換している.アルバートでの測定結果を交え,NHKグループが行っているCO2削減に向けた最新の取り組みについて報告する.

ITE

(NHKエンタープライズ 第一制作センター社会情報部 エグゼクティブ・プロデューサー

○堅達京子
NHKの放送設備における環境経営への取り組み

NHKでは環境経営を推進するためにアクションプランを策定し,「エネルギーを減らす」「エネルギーを選ぶ」「エネルギーを作る」の3つの取り組みを進めることで,脱炭素社会の実現に向けた二酸化炭素排出量の削減に努めています.本講演では,そのうち「エネルギーを減らす」を中心として,放送設備に関するカーボンニュートラルに向けた取り組みについて紹介します.全国放送局におけるスタジオ照明のLED化や現在建設中の新放送センター(情報棟)で採用予定の省エネ施策など,設備の老朽化更新にあわせて高効率なシステムを導入した具体例について取り上げる予定です.

ITE

NHK 技術局 管理部

○三谷 将
日本テレビ放送網のCO2排出量削減への取り組み ~ 「海の森を守ろう!日本列島ブルーカーボンプロジェクト」での藻場再生活動など ~

日本テレビ放送網では,開局70年を機に海の環境保全に関わる活動を推進するため「海の森を守ろう!日本列島ブルーカーボンプロジェクト」を立ち上げ,東京湾でのアマモ場再生活動に取り組んでおります.番組では,ブルーカーボンの重要性を年間を通して発信するだけでなく,CO2の排出量を減らす為,撮影方法の工夫も行っています.

ITE

日本テレビ 経営戦略局 R&Dラボ (兼) サステナビリティ推進事務局

○内藤庸介
テレビ朝日の番組美術廃材を活用した取り組み

テレビ朝日では,SDGsの取り組みの一環として2022年4月に, 「art to Art Project」を立ち上げました.
テレビ美術の世界では,「セット」から,さまざまな廃材が日々排出され,捨てられていますが, その美術廃材からワクワクするような体験やビジネスを生み出せないか? という思いからスタートした, 生まれたばかりのプロジェクトです.
本講演では,過去1年半の活動実績のご紹介を通して,捨てられるはずの廃材が持つポテンシャルを,アートという形でみなさまにご覧いただきます.廃材の魅力を最大限に生かしたモノづくりの面白さをお伝えすると共に,環境問題をより身近に感じてもらいたいと考えています.

ITE

テレビ朝日 技術局 コーポレートデザインセンター

○森永牧子
休憩
TBSテレビのCO2削減への取り組み事例紹介

環境に優しい番組作りを目指すTBSの2つの取り組みを紹介し,導入の経緯,成果などを述べる.①「世界初の水素中継車の開発」水素中継車は大気汚染物質を排出せず,特にロードレース中継では選手・観客の環境ストレス軽減が期待される.また低騒音・低振動のため,選手の息遣いや歓声をクリアに集音でき,放送の質の向上が見込め,同時にスタッフの作業環境の改善にも繋がる.②「生放送番組のペーパーレス」生放送では,時々刻々と変わる情報に合わせ紙の原稿を幾度も配り,紙を大量に消費していた.タブレット導入により,紙・印刷コストを削減.また変更箇所を即時に正確に伝達できることから,業務効率化にも繋がっている.

ITE

TBSテレビ メディアテクノロジー局 イノベーション推進部

○杉田 望
テレビ東京のCO2削減への取り組み事例紹介

テレビ東京グループでは2011年の東日本大震災以降,スタジオ照明のハロゲン電球の容量を約3割削減し,現在も継続.この経験や2015年の「SDGs」を中核としたアジェンダの採択,温暖化対策の新しい枠組み「パリ協定(COP21)」の採択などを背景に,テレビ局としていち早く気候変動問題に取り組み,2016年の本社移転では国内で初めてすべてのスタジオのLED化を実現.2021年4月にテレビ東京グループとしてSDGsプロジェクトチームを発足し,5月には「大切にします,ミライ -ずっと地球と一緒に-」というキャッチフレーズが決定.11月に本格的にカーボンニュートラルに向けた取り組みが始まり,天王洲,六本木,神谷町に順次再生可能エネルギーを導入.2022年3月に「24年度末までのCO2排出実質ゼロ」を発表し,6月にサステナビリティ委員会が発足.カーボンニュートラルをはじめ「大切にします,ミライ -ずっと地球と一緒に-」のキャッチフレーズとともに,テレビ東京グループが積極的に取り組む環境保全分野について解説する.

ITE

テレビ東京 技術局 コンテンツ技術センター

○水野暁夫
フジテレビ(フジ・メディア・ホールディングス)CO2削減への取り組み

フジテレビジョンのCO2削減の取り組みとして,ここでは経理伝票のペーパーレス化とスタジオ照明LED化などについて報告する.また,昨今の周辺状況として放送・コンテンツに係るサステナビリティ関連の標準化の動向や,経済産業省が行う業界別のグリーントランスフォーメーション支援策などについても紹介し,放送事業・コンテンツ産業における今後の取り組みの方向性を検討する材料の提供をしたい.

ITE

フジテレビジョン 総合メディア開発局 メディア開発部 部長職 兼 技術局 技術戦略部

○保谷和宏
高効率・低消費電力を実現した送信設備について

NHK名古屋・瀬戸局様へ納入いたしました地上デジタル放送用10形送信装置を例に,環境に配慮し,カーボンニュートラルの実現に貢献する弊社デジタル送信装置をご紹介いたします.
パワーアンプや電源の消費電力高効率化,また冷却能力の改善や送風機の効率的な運転など,従来機から小容量化しつつ高性能化を実現することで,送信装置の消費電力を従来の半分以下に削減し,お客様の運用コストの低減にも貢献しました.

ITE

NEC メディア統括部 第二メディアグループ 第二送信メディアシステムチーム

○古本庸介
閉会

【招待講演】


21B-8[招待講演]地域スポーツにおけるICT展開 ~ ボウリングの練習支援のための研究開発 ~

地方の既存運動施設や職員など限られた地域資源の状況下で,インクルーシブにスポーツ活動を活性化させることは,多様化する社会活動の中で重要な要素である.本発表では,ICT機器を活用した視覚的な練習指導ツールの開発の実現を目標とし,ボウリング投球練習のためのデータ取得,投球動作の解析,および,データの可視化についてこれまでに得られた研究成果と実証事例を紹介する.さらに,研究成果の他スポーツ・教育への応用について議論を行う.

ITE

室蘭工業大学

○鈴木元樹