会長からのご挨拶

会長からのご挨拶

会長 児野昭彦

NHK 専務理事・技師長

【学会創立70周年、さらなる未来へ】

本年5月、新型コロナウイルス感染拡大の脅威が全世界を席捲する中、本学会の会長に就任いたしました。はじめに、ウイルス感染拡大の影響を受け、今も病床で闘い続けておられる方々へエールを送るとともに、医療現場で多くの患者と向き合い、日々奮闘されている医療従事者の皆さまへ感謝と敬意を表します。

映像情報メディア学会は、1950年に日本のテレビ放送の父である高柳健次郎先生を会長として設立されたテレビジョン学会を前身とし、本年4月1日に創立70周年を迎えました。記念すべきこの年に本学会の会長を拝任しましたことを大変光栄に存じます。これまで1年間の次期会長としての経験を糧として、更なる学会活動の発展に努めて参る所存でございますので、ご支援のほど宜しくお願いいたします。

テレビジョン技術を始まりとして本学会が所掌してきた映像情報は、インターネットの普及拡大や高速・大容量化とも相俟って、今やテレビ放送の枠を超えて広く人々の暮らしの中に浸透し、社会生活になくてはならない存在となりました。視覚を通してわれわれが感知する情報は、太古の壁画に描かれた絵図の時代から、意思の疎通はもとより、人類の英知を継承するための手段として重要な役割を担ってきました。さらに近代社会では、出版・写真・美術・映画などの文化・芸術分野とも融合しながらさまざまな産業の発展に貢献し、今日ある映像情報メディアへと進化をしてきました。

ハイビジョンから、より高精細な4K・8Kへと進化したテレビでは、ネット接続によりOTT事業者が提供する動画配信サービスを楽しめるようになりました。幅広い世代が利用するスマートフォンやタブレット端末には高解像度のカメラが備えられ、個人がそれぞれの嗜好に合わせて映像を発信し、さまざまな場面で価値観を共有する新たなコミュニティが創出されています。また、計算機ハードウェアの飛躍的な進歩を背景に発達したAI(Artificial Intelligence:人工知能)が膨大な映像データの解析処理の一翼を担うようになり、その活用が自動運転や遠隔農業などの新しい産業分野に広がっています。コロナショックを機に急速に浸透しつつあるテレワークや遠隔医療、リモート教育の環境下でも、映像メディアの役割がクローズアップされ、アフターコロナには、一層その価値が高まることが予想されています。さらに、高速・低遅延・大容量を特徴とする5GやBeyond 5Gの通信網が普及した未来には、次世代の映像メディアである3次元テレビやAR/VR/MRが社会生活の中でより身近なものとなるでしょう。

こうした未来社会に向けて、映像情報メディアは、これまで以上に新分野や未踏領域の技術との融合が必要になると考えられます。例えば、AIの活用には技術面だけでなく、実装においてはELSI(Ethical, Legal and Social Implications:倫理的、法的、社会的問題)にも配慮する必要があります。学会では、このように研究開発者にとって有益な分野やトピックスの課題にも焦点を当て、研究会や講習会、会誌・論文誌のほか、12月に計画する創立70周年記念講演会などのイベントを通じて積極的に情報を発信していきます。2020年度も、本部と8つの支部が一体となって事業活動を展開していきますので、ご期待ください。