会長からのご挨拶

会長からのご挨拶

会長 鈴木教洋

株式会社日立総合計画研究所 取締役会長

【会長就任にあたって】

このたび、2024年5月31日に開催されました定時社員総会におきまして、児玉前会長の後任として第75期の会長を拝命致しました。テレビジョン学会に学生時代に入会して以来、諸先輩方をはじめとする多くの会員の方々のご指導のもと、研究発表や学会運営などの活動に加わってまいりました。今回の就任にあたり、70年を超える歴史のある本会をより一層発展させるよう努力してまいる所存ですので、ご支援の程、宜しくお願い申し上げます。

さて、昨年度を振り返ってみますと、コロナが収束に向かう一方で、世界情勢はロシアのウクライナ侵攻は終わりが見えないまま3年目を迎え、昨年はイスラエルによるガザ侵攻が始まり、先行きの不透明感が増した1年でした。さらに、今年に入り、石川県能登半島を震源とする大きな地震が発生しました。改めて、「令和6年能登半島地震」にて被災されました方々に心よりお見舞い申し上げます。

このような外部情勢のもと、近年では映像技術やネットワーク技術の急速な進化により、ドローンやスマートフォンを活用して世界中のあらゆる様子をリアルタイムで伝えることが可能になりました。また、生成AIを用いた映像や音声の合成は、映像コンテンツの生成や大量のデザイン案の提案など、ビジネスの効率化から新しい価値提供にまで活用の機会が広がっています。一方で、SNS利用に伴うプライバシー侵害のリスクや本物と見間違えるような映像によるフェイクニュースの懸念など映像に関わる課題も増えてきており、映像情報を安心かつ安全に扱えることが求められています。

本会は、映像情報メディアに関する学理ならびに技術の進歩向上、普及をはかることを目的として、映像・音声や表示・表現などの分野での技術革新が進む今日の社会に貢献するべく活動してきています。2020年に創立70周年を迎え、次の80周年に向けてこれまで以上に積極的に活動してまいります。三つの基本施策である「学会の活性化」、「新分野の開拓」、「広報活動と会員サービスの拡充」を、2024年度はさらに充実させてまいります。

「学会の活性化」に向けては、映像情報メディアに関する大会、国際会議、研究会を通して、当分野の技術レベルを一層引き上げるとともに、研究者間のネットワーキングを強力にサポートいたします。4K・8K映像機器の研究開発に向けたテストチャートについては、超高精細・広色域HDR版標準動画像(Cシリーズ)第2版の頒布拡大に尽力いたします。多くの学会との共通課題である会員数の増加については、今年度もアカデミックパートナー制度を積極的に展開していきます。

「新分野の開拓」に向けては、各研究委員会とIEEE Japan Councilとの連携開催、2024年年次大会における韓国放送メディア技術学会とのジョイントセッション、ディスプレイ国際ワークショップ(IDW 2024)の米SID共催等を通じ、グローバルネットワークの構築を図ってまいります。また、従来の映像情報メディアの枠にとらわれず、「生成AI」、「スマート農業・スマート漁業」などの学会誌での特集や、「心理や感性」、「ヒューマンファクター」をテーマとした研究会開催などを通して、新たな分野を開拓していきます。

「広報活動と会員サービスの拡充」に向けては、各種SNSや学会ホームページ、メーリングリストを通じた情報発信は、2024年度も積極的に活用してまいります。学会ホームページについては、本学会より発信する情報をより探しやすく見やすくするとともに、若年層の会員増に向けた魅力あるコンテンツを提供していきたいと考えています。

2024年度も本学会のさらなる活性化と発展のために、役員、事務局の皆様と一丸となって尽力してまいります。会員の皆様のご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。