会長からのご挨拶

会長からのご挨拶

会長 田中孝司

KDDI株式会社 代表取締役会長

【学会創立71年目、ニューノーマル時代に向けて】

学会創立71年目となる映像情報メディア学会の名誉ある会長職を拝命いたしました。これから1年間という短い期間ではございますが、本学会のこれまで以上の発展に貢献すべく、全力で取り組んで参る所存ですので、会員の皆様にはお力添え賜りますようお願い申し上げます。

昨年来のこの1年、私たちの生活は大きく変わりました。移動や人的交流が大きく制限され、これまでの当たり前ができないことの困難さを痛感する日々が続いています。情報通信の世界においては、人々の生活に根差した新たな価値の提供を推進しようとしている最中、日常の生活スタイルの不可避で急激な変化に直面し、ICT技術による社会への貢献を一層加速化していかなければならない状況です。一方で、パンデミックは学会活動をも大きく変えました。昨年前半は、研究会の開催も中止や延期が相次ぎ、学会活動が一時的に停滞したことは否めません。このため、イベントの在り方、情報発信の方法、人材交流の仕組みなど、全般的に新しい学会運営が必要とされていました。

そんな中、本学会は創立70周年を迎え、2020年12月には記念大会を開催いたしました。ここでは、昨年後半に各研究委員会が導入したオンラインでの運営ノウハウが大いに活用され、結果的に多数の聴講参加者を集められたことは喜ばしく思います。また記念大会では、この先10年を見据えた「映像情報メディアのグランドチャレンジ」をテーマとした記念講演会も行われました。その中で、映像情報メディアの応用分野として近年大きな注目を集めている自動運転技術やネット映像配信技術に多くの関心が集まりました。また、研究委員会からは今後10年間のグランドチャレンジと題した講演が行われ、将来に向けた方向性を垣間見られる企画として高い関心を集め、本学会共催の国際ワークショップでの講演も決まりました。オンラインの特徴を生かして実現された多様なコラボレーションは、学会活動の訴求力向上や活動領域の拡大に大きく寄与すると期待しております。

このように、私たちはこの度の試練を有益な経験として、ニューノーマル時代に移行していけるのではないでしょうか。その中でも、映像情報メディアはこれまで以上に多くの場面で大きな役割を果たすことが期待されます。大規模イベントのオンライン化、テレワーク・働き方改革、消費行動の変化、感染症対策・健康管理など新たなスタイルを支えるAI(人工知能)、次世代通信方式のBeyond 5G/6G、大量の映像情報メディアを高速に処理するプラットフォーム技術、そしてディジタルツインを実現する異種メディア連携技術など、映像情報メディア技術はかつてないほど人々の生活に不可欠なものとしてその適用範囲が拡大していくことが予想されます。映像情報メディア学会の活躍の場面は大きく広がっていくのではないでしょうか。

さらに、オンライン環境の世界的な普及を受けて、学会活動のグローバル化もさらに進展し、海外の研究者との交流・接点が大幅に増えています。この観点で、映像情報メディア分野の日本の研究成果を世界に発信すべく、本学会の英語論文誌MTA(Transactions on Media Technology and Applications)の国際的ビジビリティを向上させていくことが必要であり、私の重要な取り組みの一つだと考えています。

映像情報メディアが新たな役割を帯び、その利用が拡大していくこの機会において、本学会にとっての1年を実り多きものにしていきたいと存じます。