会長からのご挨拶

会長からのご挨拶

会長 寺田健二

株式会社放送衛星システム 代表取締役社長

【会長就任挨拶】

このたび、2026年5月29日に開催されました定時社員総会において、齋藤英雄前会長の後任として第77期の会長を拝命いたしました。長い歴史と伝統を有する本学会の運営を担うこととなり、大変光栄であると同時に、その責任の重さをあらためて感じております。学会の発展にご尽力されてきた歴代会長ならびに多くの先達、会員の皆様に深く敬意を表するとともに、その歩みを受け継ぎながら学会運営に取り組んでまいります。

私はこれまで長年にわたりNHKにおいて放送技術の開発および実用化に携わり、近年は、NHKの放送技術全体を俯瞰する立場で職務を担ってまいりました。社会環境や技術が急速に変化する中で、放送が果たすべき役割を問い続ける経験は、映像情報メディアを支える知の基盤としての学会の重要性を、私自身にあらためて認識させるものでした。あわせて、限られた財源のもとで活動の持続性を確保し、効率化と質の両立を図っていくことの重要性についても、強く意識してきたところです。

2026年は、日本の映像技術史において特別な節目の年となります。1926年12月25日、高柳健次郎先生が「無線遠視法」の構想のもと、電子式テレビジョンによって片仮名の「イ」の字をブラウン管上に映し出してから、ちょうど100年を迎えます。走査線数40本という限られた条件ではありましたが、映像を電気信号として処理し再び可視化できることを示したこの実験は、日本の映像情報メディア技術の原点であり、その精神はその後の放送技術、表示技術、映像表現の発展へと確かにつながってきました。

本学会では、この節目を「イの字100年」として位置づけ、2026年11月号の学会誌特集をはじめとする諸活動を通じて、その技術的意義と先人の志をあらためて共有し、次世代へと継承していくことを重要な使命の一つと考えています。過去の歩みを振り返ると同時に、未来の映像情報メディアを構想する契機としたいと考えております。

本学会の2026年度事業計画では、「共創と連携による価値創出」を掲げ、学会の活性化、新分野の開拓、広報活動と会員サービスの充実を三つの柱として、活動を推進していくこととしています。年次大会・研究会のさらなる充実、若手研究者や学生への支援強化、国内外の学協会との連携深化に加え、生成AIの進展に伴う倫理や社会的責任といった課題にも目を向け、産学官を横断した対話と発信を進めていくことが求められています。

放送の現場に携わってきた一人として、私は、研究成果を社会実装へとつなぐ過程の重要性、そして現場で顕在化した課題を研究へと還元する循環の大切さを強く感じてきました。本学会が、研究者・技術者・実務者が立場を超えて知を持ち寄り、実効性のある連携や新たな価値創出を生み出す場となるよう、理事会や各委員会、そして会員の皆様と丁寧に議論を重ねながら運営に取り組んでまいります。

次の100年に向けて、映像情報メディアが社会に果たす役割を見据えつつ、学会から学ぶ姿勢を忘れることなく、本学会のさらなる発展に尽力する所存です。会員の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。